2025年6月28日、風営法改正が施行された
この法改正により、無許可営業に対する罰則が大幅に強化されたことは、多くのメンズエステ関係者も耳にしているはずです。
でも実際、「具体的に何が変わった?」「うちには関係あるの?」という実感がない人も多いかもしれません。そんな空気を一変させたのが、改正初週から相次いだ摘発報道です。
本記事では、2025年6月28日から7月2日までの間に報じられた摘発事例をもとに、今後のリスクと注意点を丁寧に整理していきます。
※筆者は法律の専門家ではありません。本記事は報道・行政発表をもとにまとめた情報提供を目的としたものであり、判断には必ず専門家の助言を仰いでください。
改正風営法で何が変わったのか?
2025年6月の法改正で注目すべき点は「無許可営業に対する罰則の強化」です。
- 改正前:懲役2年以下 または 罰金200万円以下
- 改正後:拘禁刑5年以下 または 罰金1,000万円以下(個人)/法人は最大3億円
この変更は、店舗型・無店舗型を問わず風俗営業に該当すると判断された場合に適用されます。
つまり、健全店であっても実態が風俗的と認定されれば、摘発リスクが激増する時代になったということです。
【事例①】6月28日|愛知県豊田市のチャイエスで5人逮捕
風営法改正が施行された初日、愛知県豊田市内の「中国式マッサージ」をうたう店舗に対して、愛知県警が家宅捜索を実施。結果、経営者を含む5人(うち2人は中国籍の女性セラピスト)が逮捕されました。
このケースでは、表向きは「リラクゼーション」でしたが、裏では性的サービスを行っていたという点が問題視されました。報道では、客の証言や店内の備品・構造などが風俗営業に類する実態として扱われたとされています。
✅ この摘発で見えたリスク
- 健全を装っていても、中身が本番ありなら即アウト
- スタッフが外国人であることにより、入管法・風営法のダブル違反の可能性
- 客の証言が証拠として扱われることもある
【事例②】6月30日|大分県大分市のマンション型メンエスで逮捕者
この日、大分県警は大分市内のワンルームマンションで営業していたメンズエステを摘発。店舗運営者の男性が風俗営業の無許可営業容疑で逮捕されました。店舗名やセラピストの氏名などは報道されていませんが、調べにより性的サービスを暗黙に提供していた可能性が高いと判断されたようです。
✅ この摘発で見えたリスク
- マンションタイプであっても内容次第で風俗営業扱いになる
- 施術内容が明文化されていなくても、実態が性的であれば違法
- HPやSNSの表現と、実際の施術内容が乖離していた可能性
【事例③】7月2日|三重県伊勢市のメンズエステでセラピスト現行犯逮捕
7月2日、三重県伊勢市のメンズエステにて、女性セラピストが性的サービスを提供していたとして現行犯逮捕されました。報道によると、施術中に過剰なサービスを提供していた現場を、捜査員がおとり捜査により確認。
また、店舗経営者も書類送検されており、店ぐるみでの性的サービス提供が行われていた疑いが強まっています。このケースは、風営法改正後としては異例とも言えるスピード摘発であり、見せしめではないかとSNS上でも話題になりました。
✅ この摘発で見えたリスク
- セラピスト個人が摘発されるケースもある
- おとり捜査で実態がバレる時代に入った
- 現場だけでなく店舗の指示も問われるリスクがある
業界関係者が今すぐ見直すべきポイント
この一週間の摘発から見えるのは、
これまで見逃されていたグレーゾーンが、本気で取り締まり対象になっているという現実です。ここからは、「お店」「セラピスト」「客」、それぞれの立場で、今すぐ見直すべきポイントを具体的に解説します。
お店が見直すべきこと
▶︎ 実態と広告・発信内容の乖離をなくす
「健全店です」と言いながら、実態がグレーだと逆に悪質とみなされます。店頭、HP、SNS、口コミ、どれか一つでも性的期待を感じさせるなら、見直しが必要です。
▶︎ 施術内容と表現を具体的に定義する
「鼠蹊部あり」「密着あり」など曖昧な表現は避け、NGラインとOKラインを文書化・スタッフと共有するのが理想。
✅ チェックリスト
- 店のSNSに過激な投稿がないか?
- 「密着」「ご奉仕」「エロ活」などの文言を使っていないか?
- セラピストに曖昧な指示をしていないか?
- 違法リスクを正しく教育できているか?
セラピストが見直すべきこと
▶︎ 「店のせい」では済まされない時代
今回の伊勢市の事例のように、セラピスト本人が現行犯で逮捕されるケースもあります。たとえ店の指示でも、施術内容に違法性があれば自分が捕まることを理解しておくべきです。
▶︎ SNSや個人DMでの匂わせ投稿は危険
「鼠蹊部オプあり」「裏オプあるかも」などの文言や、あえて過激な内容をぼかして投稿するスタイルは、証拠として使われる可能性すらあります。
▶︎ お店とのルール共有をしっかりと
施術内容、衣装、オプション、SNSの使い方など、お店の方針が曖昧だったりスタッフ間でばらつきがあると、意図せずグレーな対応をしてしまうリスクがあります。
- 店舗がどういったスタンスなのか
- NGラインはどこなのか
- 「OKに見えて実はダメ」なことは?
このあたりを店側と共有・確認しておくことが、トラブル回避にもつながります。
✅ チェックリスト
- SNSに性的な表現・画像・誘導がないか?
- お客様に誤解を与える投稿をしていないか?
- お店とルールを言語化して共有できているか?
- 自分の施術が“健全”と自信を持って言えるか?
お客が見直すべきこと
▶︎ 「メンエス=抜きあり」の時代は終わったかもしれない
もしかしたら…という曖昧な期待を持って来店することは、セラピストにプレッシャーを与え、結果的に違法なサービスを引き出してしまうリスクがあります。
もう抜きありメンエスが主流の時代ではありません。トラブルや摘発に巻き込まれないためにも、何を求めて通うのかを明確にしておくべきです。
✅ チェックリスト
- 事前に口コミやSNSで雰囲気をチェックしているか?
- 求めているのが性的サービスでないか冷静に判断できているか?
- セラピストにプレッシャーをかけていないか?
- トラブル時は店舗・警察に適切に相談できる準備があるか?
まとめ
この摘発は偶然ではなく、時代のシグナル
風営法改正の施行から、わずか5日で3件の摘発。これは単なる偶発的な事件ではありません。今までは見逃されていたラインが、これからは狙われるポイントになるということです。
一方で、これは業界にとってチャンスでもあります。健全な施術・表現・運営に取り組む店やセラピストにとって、信頼を得られる環境が整いつつあるということ。今こそ、なんとなくグレーなまま放置していた部分を見直し、新しい時代のメンズエステとして進化するタイミングかもしれません。