「また行くね!」
そう言ったはずなのに、なぜか行かない。嫌いになったわけじゃない。むしろ、いい時間だったはず。でも、気づけば数週間、数ヶ月…なんとなく足が遠のいている。
これはメンズエステに限らず、誰もが経験したことがある「不思議なフェードアウト」。今回はこのなんとなく行かなくなる現象を、心理学の視点で読み解いてみる。
行かない理由が明確じゃないからこそ行かない
例えばラーメン屋で、スープがぬるかったとか、接客が雑だったとか、明確な不満があれば「次は行かない」と判断しやすい。
でもメンズエステでは「悪くなかったけど…なんとなく」という曖昧な印象が残ることが多い。
ここで働くのが「選択回避の法則(decision avoidance)」という心理。
これは、明確な決め手がないと選びにくくなるという傾向で、似たような選択肢が複数あると、そもそも選ばない、という状態になりやすい。
- 似たようなルックス
- 似たような料金
- 似たような接客
つまり、「別にこの子じゃなくても…」という無意識の評価がリピートを遠ざける。
記憶が薄まるという自然現象
行こうと思ってたのに、気づけば忘れてた。これは単なる物忘れじゃなく「記憶の希薄化(memory decay)」が関係している。
人はポジティブな記憶ほど「美化」はするが、詳細はどんどんぼやけていく。
- どんな服を着てたっけ?
- 会話で何を話した?
- どんなタッチが良かった?
思い出せないから「また行きたい」という気持ちが湧かなくなる。
これはセラピスト側にも対策のヒントがある。記憶の種を残すような個性や会話ができるかどうかが、後日の来店に影響するかもしれない。
予約するのが面倒という現代病
ちょっとでも「面倒」と思った瞬間、人はすぐに先延ばしにする。
- 予約のDMが緊張する
- 希望の時間が空いてるかわからない
- シフトがいつも不安定
こうしたハードルが、「先延ばしの心理(procrastination)」を誘発する。
また行くという気持ちが、行動に変わるには、「とにかく楽」が必要だ。ここでも、セラピスト側の工夫が光る場面がある。
4. セラピ側の視点「悪いことしてないのにリピされない…」
セラピストからすれば「優しく接したし、気も遣ったし、いい時間を作った」自負がある。
でも、お客さんがなんとなく来なくなるのは、その逆で、強い印象が残ってないということでもある。
- 余白が多すぎて接客が無味無臭になっていないか
- お客さんの記憶に残る物語や感情を残せたか
これは決して技術うんぬんだけの話ではない。人として、どんな存在感を残せたか?の話でもある。
もちろん、お客さん側の都合大いにある。時間の都合、タイミング、金銭の問題など、リピされないからといってすべてがセラピストの問題というわけではない。
「また行くね」はウソじゃない。でも…
忘れがちだけど、また行くねという言葉は基本ポジティブなもの。
- 「楽しかった」
- 「ありがとう」
- 「また話したい」
そんな気持ちがあるからこそ出てきた言葉。でも人は日々の仕事や生活に流され、時間とともに熱は冷めていく。
心理学で言う「感情の希薄化(emotional fading)」だ。
別に嘘をついたわけじゃない。けど、熱が続かなかった。ただそれだけ。
まとめ:リピートされる理由は「また会いたい理由があるかどうか」
「また行くね」と言ったお客さんが戻ってこない。
それは、嫌われたからでも、満足度が低かったからでもないかもしれない。
- 選ぶ決め手がなかった
- 記憶が薄れていた
- 予約が面倒だった
- 忘れていただけだった
メンズエステの“リピート”は、恋愛と似ている。
「なんとなく会いたくなる」
「もう一度、あの人に会いたい」
そんな気持ちを引き出せるかどうか。
それが、また会えるかどうかの分かれ目かもしれない。